当サイトでも扱っている一部スマートホーム製品は「Tuya連携」という機能を持っています。

この「Tuya連携」、スマートホームに詳しくない方は聞きなれない言葉でしょう。本稿ではこれについてざっくり理解することを目指し、Tuyaという会社の戦略や Tuyaが展開するアプリについて解説します。

Tuyaの戦略

あるところに、IoT機能付き冷蔵庫を世に送り出したい家電メーカーがおりました。つまり、無線通信によって外部から操作したり、センサによって中身のモニタリングができたり、という機能を冷蔵庫に組み込もうと考えたとします。

しかし、自社でゼロから無線通信技術を磨くのは大変です。新たな技術者の採用?それとも今いる技術者に学ばせるか。どちらにしてもお金と時間を要します。

スマートホームは発展著しい業界です。開発が半年遅れれば、築き上げた技術は時代遅れになってしまうかもしれません。

Tuya Inc. はこうした課題を解決すべく、2014年に設立されました。同社は IoT機能を補うためのチップを開発しており、これを組み込むだけで、既存の製品を IoT化することができます。Tuyaはこのチップ販売を主として業績を伸ばしてきました。

家電メーカーは自社の強みである家電の性能向上にリソースを集中でき、開発期間を削減しつつ、コスト低減が実現できるというわけです。言うなれば、IoT機能の外注ですね。

こうした Tuya Inc.の戦略は成功し、現在、3000種を超える製品に Tuyaの通信チップが利用されています。

Tuya連携

Tuya連携とは、Tuyaの通信チップを内蔵した機器とコントロールデバイス(スマホやスマートスピーカーなど)間でデータ共有や遠隔操作を可能にする機能です。Tuyaのチップが組込まれているならば、「Tuya Smart」というスマホアプリで製品を操作できます。

また、Tuyaは多くのプラットフォーム企業と提携関係を結んでおり、Alexaや Google Homeなどは Tuyaモジュールと通信できる機能をデフォルトで備えています。Tuyaチップが組込まれた製品は以下のアイコン表示があり、文字でも「Tuya連携可能」の記載があるはずです。

tuya logo in transparent PNG and vectorized SVG formats

図 Tuya連携可能を示すアイコン

注意点として、Tuya連携と通信規格(zigbeeや wifiなど)は全く別のレイヤーの話です。Tuyaは、zigbee用、Bluetooth用、wifi用など、様々な通信規格に対応したチップを開発していますが、通信規格が合っていなければ連携もできません。

例として、MOES社の人感センサーは Tuya連携が可能ですが、zigbee通信を採用しており、zigbee通信機能を持たないスマホでは操作できません。スマホで操作するためには zigbeeと Bluetoothを変換するゲートウェイが必要です。

Tuya Smartと Smart Life

Tuya Smart」は、Tuyaチップ内臓製品を操作するためのスマホアプリです。下に Tuya Smartアプリのアイコンを示します。

Tuya Smart

図 Tuya Smart アイコン

また、Tuyaチップ内蔵製品を操作できるアプリには、「Smart Life」というものもあり、こちらもも Tuya自身が開発しています。

Tuya Smartは API統合や拡張性に優れ、Smart Lifeはシンプルで使いやすいインターフェースを特徴としますが、公式サイトによれば操作できるデバイスに大きな違いはないそうです。自身が待っている他のスマートホーム製品との連携や、スマートホーム化の規模、インターフェースの好みなどでどちらを使うか選ぶと良いでしょう。

Smart Life - Smart Living - Google Play のアプリ

図 Smart Life アイコン

Matterとの関係

Tuyaは、CSA(Matterの管理・開発を進める業界団体)の取締役会メンバーであり、Matterをサポートしていくことを表明しています。Matterをサポートする Tuya製品は順次拡大していく予定です。

CSAはメーカー側へ Matter導入のための基盤となるアプリケーションプロファイルを提供していますが、Matter対応製品として認証を受けるためには、ある程度の知識も時間も必要となります。他方、Tuyaのモジュールを活用すれば、こうした面倒な手続きを Tuyaに一任し、Matter認証を容易に取得することが可能です。

Tuyaは Matterの登場によって多様化するニーズに応えるため、IoT向け半導体製品の開発で有名な Silicon Labsと提携しています。これにより、OpenThreadや Bluetooth Low Energyなど、スマートホーム向けの低消費電力通信をサポートし、顧客の幅広い需要へ柔軟な対応が可能となりました。