スマートホーム導入時のつまづきやすいポイントに、ハブが挙げられます。ハブはスマートホームの重要な構成要素ですが、絶対に必要というわけでもなく、そのあたりが問題をややこしくしているように感じます。

今回はハブの役割について具体例を交えて紹介し、スマートホームのハブとは何かについて解説します。

ハブの役割

スマートホームハブの役割を一言で表すならば、「中継」です。各々の機器から発せられた信号を一旦集め、適切な形に変換し、適切な場所へ送信します。

身近なものとして最も似た役割を持つ機器は wifiルータでしょう。Wifiルータは、インターネット回線と wifi通信を中継します。スマートホームハブが中継するのは、wifi通信とその他の近距離通信(Thread, BLEなど)です。スマートホーム機器をハブで中継し wifiに繋げば、インターネットにも接続でき、外出先でスマートホーム機器の操作ができます。

また、スマートホームハブはインターネットとの中継だけではなく、他社のコントローラ、スマホ等との中継も担います。

図 wifiルータとスマートホームハブ

ハブを使ってインターネットや他社製品との中継を行うと、離れた場所に居ながら自宅のスマートホーム機器を操作したり、他社製品との連携が可能になったりします。

よって、他社製品のコントローラを持っていない場合や、外出先から操作する予定がない場合には、基本的にハブは必要ありません。ハブは後から導入することもできますので、小規模にスマートホームを始めたい場合には買う必要はないと考えて問題ないでしょう。ただし、後述の通り例外もありまして、「ハブが必須の製品」もあることにご注意下さい。

ハブ有り無しで出来ることを比較

スマートホームハブはスマートホームシステムを拡張し、出来ることを増やしますが、上述の通り、絶対に必要というわけではありません。

以下では、IKEAのスマートホームハブ DIRIGERAの機能を例に、ハブ有り無しで出来ることがどう変わるのか、具体的に紹介していきます。

ハブ無しでも出来ること

ハブを導入しない場合でも、近距離の通信でスマートホーム機器同士を連携させることは可能です。

例えば、IKEAのスマート照明 TRÅDFRIドアセンサ PARASOLLを組み合わせれば、ドアの開閉によって照明を on/offさせられます。スマートリモコン STYRBARを使えば点灯・消灯だけでなく、暖色から白色までの色合いや明るさの調整が可能です。

注意点として、スマート照明 TRÅDFRIとドアセンサ PARASOLLの組み合わせだけでは照明の調光はできません。

照明の数が増えてくると逐一センサやリモコンと連携させることが大変ですが、小規模にスマートホームを導入したいならば十分な機能を備えています。

ハブがあると出来ること

ハブと連携させた場合、まず、全てのスマートホーム機器をスマホアプリで操作できるようになります。スマホアプリではスマートホーム機器の状態が画面上に表示されて大変使いやすいです。また、スマートリモコン STYRBARを持っていなくても照明の調光ができるようになります。

図 IKEA Home smartアプリのアイコン

そして、Google Nestや Alexaなどのスマートスピーカー、SMARTWIZ+などのコントローラーによる機器操作が可能になります。

この他、複数のスマートホーム機器の一括操作、時刻に応じた自動点灯・消灯、他社製品を含むシーンの設定などが可能です。他社製品との連携はハブ無しでは行えません。

注意点としまして、DIRIGERAはデフォルトで wifiによるインターネット通信機能がオフになっています。インターネットを使って外部から操作するためには「Control Anywhere」機能をオンにする必要があります。

ハブの様々な形態

上では IKEAのスマートホームハブ DIRIGERAを扱いましたが、ハブには様々な種類、様々な形態があります。以下では、それら様々なハブの形について具体的に見ていきます。

ハブ無しでもスマホと連携できる製品

スマホとの連携にハブが必要なスマートホームもあればそうでないものもあります。例えば、CANDY HOUSEの SESAMEシリーズはハブ無しでも Bluetooth経由でスマホと連携でき、専用アプリで操作できます。

SESAMEハブを使うと、Matter経由で他社製品と連携したり、インターネット経由で遠隔操作できたりします。

ハブが一体になっている製品

中にはハブの機能が一体となっている製品もあります。

Aqaraのスマートカメラ G3は、カメラとしての機能だけでなく、ハブとしての機能を有し、Aqara製のドアセンサや温湿度センサを接続できます。加えて、Matter対応であるため、G3があれば Aqara製品を他社のMatter対応製品で操作することも可能です。

ハブが必須の製品

一部のスマートホーム機器はハブと同時に使用することを前提に設計されているものもあります。

例えば、MOESのガス漏れセンサは同社のハブが無いと使えません。Aqaraの人感センサ FP1Eも同様に、使用の際には Aqaraのハブが必要になります。

ハブが必須となる製品には Zigbee通信を使っているものが多いようです。基本的に「スマートホームを小規模に始めるならハブは必要ない」のですが、こうした例外もあることにご注意下さい。

ハブをご購入の際には

全てのスマートホームハブを一纏めに考えるべきではありません。IKEAスマートホームハブの例をとってみても、できることとできないことが他社のハブと異なります。実際に使っている人が身近にいればアドバイスを聞けて大変有難いですが、そのような友人がいるケースは稀かと。

ハブの購入に際しては、メーカーの製品紹介のみならず、実際に商品を使用したユーザーのレビューがあれば大変参考になります。IKEAの商品レビューは購入者の正直なレビューがたくさんありますのでオススメできますが、そのようなレビューを掲載していないメーカーもあるでしょう。

当サイトでは、実際に製品を使った感想を多数紹介しています。初めてハブを購入されるという方は是非参考にしてみてください。