近年、スマートホームという言葉を耳にする機会は増えています。海外では新築住宅の約3割がスマートホーム化されているとも言われている中で、日本ではほとんど見られないのが現実です。
住宅設備とITの両分野に関わるエンジニア兼企業の代表である澤田氏によると、実際に寄せられる相談は、防犯カメラの設置や補助金を活用した内窓リフォームなどが中心だといいます。
では、なぜ日本ではスマートホームが広がらないのでしょうか。そして、本来どのような価値を持つ技術なのでしょうか。
今回は、住宅設備とITの両分野に関わりながらスマートホームの可能性を追い続けてきた澤田氏に、日本のスマートホームの現状とこれからについて話を聞きました。
住宅設備とITの両方に関わってきたエンジニア

住宅設備とITの両方に関わりながら、スマートホームの研究と実装を続けてきた「有限会社サワダ/スマートホームサワダ」代表の澤田氏。
澤田氏は現場で機器を扱う技術者でもありながら、システムの開発や仕組みづくりにも携わっています。
住宅設備の世界は、電気工事やリフォームなど現場での作業が中心です。一方でスマートホームは、機器同士をつなぐソフトウェアやネットワークの知識も必要になります。澤田氏は、こうした現場の設備とITの両方に深い知識を持つエンジニアです。
職人タイプの技術者
澤田氏は、自身の技術者としてのスタイルをこう語ります。
>「私は基本的に職人タイプなので、人が喜ぶ姿を見ると嬉しいんですよ」
機械やシステムを作ること自体が目的ではなく、それを使う人が安心したり、便利になったりすることにやりがいを感じるといいます。
住宅設備の仕事では、実際に住む人の生活に直接関わります。だからこそ、机上の理論だけではなく「現場で役立つ仕組み」を作ることを大切にしているそうです。
人が喜ぶシステムを作りたい
スマートホームは、技術好きの人が楽しむガジェットのように見られることもあります。しかし澤田氏は、本来はもっと生活に寄り添う技術だと考えています。
例えば、照明やエアコンを自動化するだけでなく、家族の安全を見守る仕組みとしても活用可能です。
スマートホームを「難しい技術」ではなく、「暮らしを支える道具」として広げていくことが大切だと話します。
自宅介護をきっかけに生まれた見守りシステム

澤田氏がスマートホームの可能性を強く感じたきっかけは、自身の家庭での介護でした。
当時、澤田氏は母親の自宅介護に関わっていました。家族で協力しながら生活を支えていましたが、どうしても解決できない問題があったといいます。
それが「離れている時間の不安」です。当時の状況を振り返り、澤田氏はこう話します。
>「仕事に出ている間は本当に不安でした」
自宅で生活している以上、常に誰かがそばにいるわけではありません。何かあったときにすぐ気づけない可能性があることが、大きな心配だったそうです。
そこで澤田氏は、自宅に見守りシステムを構築しました。
センサーで日常生活の変化を見守る
室内の状況を確認できるよう、さまざまなセンサーを設置し、生活の変化を把握できる仕組みづくりから始めました。
例えば、以下の写真のように、部屋の動きや人の位置などを検知することで「いつもと違う状態」に気づけます。このような仕組みがあるだけでも、離れて暮らす家族の安心感は大きく変わります。

ベッドからの立ち上がりを検知する「マットセンサー」

ベッドの安全扉の開閉を検知する「扉センサー」

手すりを握ったことを検知する「手すりセンサー」

センサーからの信号をWi-Fiで送信する機器
上記「見守りシステム」の詳細は以下よりご覧ください。
>>自宅介護のミカタ = 見守りベッド
家族で状況を共有できる仕組み
さらに澤田氏は、以下のように、家族全員がスマホなどから状況を確認できるようにしました。

家族がそれぞれの場所から状況を確認できるため、何か異変があればすぐ対応できます。澤田氏の自宅は車で10分ほどの距離だったため、必要なときにはすぐ駆けつけられる環境でした。
設備自体の費用はそれほど高額ではなかったといいます。ただし、実際に運用するためには家族の協力や仕組みづくりが必要であり、その点が難しい部分でもあるとのことでした。
スマートホームは「便利」より「安心」に役立つ

スマートホームとは、照明やエアコン、センサーなどの機器をインターネットにつなぎ、スマートフォンや自動化によって家の設備を便利に管理できる仕組みのことです。
そのため、スマートホームというと、照明を声で操作したり、家電をスマートフォンで操作したりする「便利さ」が注目されがちです。
しかし澤田氏は、実際には家族の見守りや安心といった面でも、スマートホームには大きな価値があるといいます。
> 「介護する側も、される側も、負担が減れば理想的ですよね」
見守りの仕組みがあれば、離れて暮らす家族の状況を把握しやすくなり、安心感にもつながります。
スマートホームによる見守り
センサーやカメラを活用することで、離れて暮らす家族の状況を確認できます。 高齢の親が一人で暮らしている場合でも、日常の様子をゆるやかに見守ることが可能です。
介護の分野でも、スマートホームの仕組みには大きな可能性があると澤田氏はいいます。その背景には、介護用品のカタログを見たときの経験がありました。澤田氏は当時の印象を次のように振り返ります。
> 「3年前に介護用品のカタログを見たことがあるんですが、写真付きでたくさんの製品が載っていて、しかも補助金があるので安いんです。ただ、その中にはネットワークにつながる機器がほとんどありませんでした」
多くの機器が並ぶ一方で、ネットワークを活用した見守りの仕組みはほとんどなかったといいます。澤田氏は、その状況を見て、まだ改善できる余地があると感じたそうです。
> 「とてもアナログな世界で、介護士さんの負担を軽減するための工夫はまだまだできると思いました」
そして、システムを使う以上、不具合が起きる可能性がある点についても澤田氏は冷静に見ており、次のように話します。
> 「通知が来ないこともあるかもしれません。ただ、完璧ではないという前提で、少しでも助けになればという考え方ですね」
例えば介護施設では、スタッフが24時間体制で働いています。夜間も見守りを続ける必要があり、負担は決して小さくありません。
> 「もしセンサーなどがあれば、少しは休むこともできると思います」
澤田氏が自宅で使ったのは家庭向けの機器でしたが、産業用のセンサーを使い、システムを二重三重に構築すれば、より高い信頼性も実現できるといいます。
> 「ミリ波レーダー※などを使えば、転倒や位置、姿勢なども検知できます。自宅介護にはとても向いていると思います」
このように、スマートホームは家族を見守る仕組みとしても大きな可能性を持っているといいます。
※ミリ波レーダーとは、電波を使って、人の動きや位置を検知するセンサーの一種
家族の安心
スマートホームによる見守りの仕組みがあるだけで、家族の安心感は大きく変わります。たとえ離れて暮らしていても、日常の様子がわかることで、不安は大きく軽減されます。
また、いつもと違う様子に気づけることは、大きな安心材料です。
監視するというのではなく「何かあれば気づける」という状態を作ることが大切だと、澤田氏はいいます。
介護負担の軽減
介護は24時間続くものです。特に施設では夜間もスタッフが働き続けています。
もしセンサーなどで状況を把握できれば、常に目を離せない状態を少しでも軽減できます。
スマートホームは、介護する側とされる側の両方にとって負担を減らす可能性を持っているため、ますます注目されていくでしょう。
なぜ日本ではスマートホームが広がらないのか

海外では新築住宅の約3割がスマートホーム化されていると言われています。一方、日本ではまだほとんど普及していないのが現状です。その背景にある、原因と課題について澤田氏に話を聞きました。
住宅業界でもスマートホームの情報はまだ少ない
> 「スマートホームといえば照明スイッチなどを後付けで自動化できるSwitchBotくらいしか知らない、という方も多いですね。」
澤田氏が工務店や住宅会社と話す中で感じるのは、そもそもスマートホームの知識を持つ人が少ないということです。住宅設備の世界では、まだ十分に理解されていない技術なのです。
澤田氏の会社では、住宅の新築は手がけていませんが、リフォームは行っています。その中でも、工務店やデザイナーの方でもスマートホームの知識を持つ方に出会うことはほとんどないといいます。
スマート機器の導入や設定のサポートをできる人が少ない
例えスマート機器に興味をもったとしても、導入や設定をサポートできる人が少ないことは、大きな課題です。
住宅会社は、設置した設備に問題が起きた場合、対応する責任があります。そのため、自分たちが扱えない機器は導入を避ける傾向です。
結果として、スマートホーム機器は「趣味のガジェット」のように扱われてしまい、住宅設備として広がりにくい状況が続いています。
そのため、現状では、サポートできる人の少なさと、スマートホームをどのように社会に浸透させていくかが大きな課題だといえます。
スマートホームの導入費用は意外と高くない

スマートホームというと、数百万円かかる大規模な設備を想像する人も多いかもしれません。
しかし実際には、そこまで高額なものではありません。
例えば照明スイッチの場合、通常のスイッチを設置する代わりにスマート対応のものを選ぶだけで導入できる場合もあります。価格差も数千円程度です。
新築住宅であれば、家全体をスマート化しても追加費用はおよそ20万円程度で実現できるケースもあります。
最近は機器の価格も下がり、使いやすい製品も増えてきました。環境は少しずつ整いつつあるといいます。
スマートホーム普及の鍵

日本でスマートホームが広がるためには何が必要なのでしょうか。澤田氏は、普及のポイントとして「新築住宅での導入」と「橋渡し役」の重要性をあげます。
新築住宅での導入
澤田氏が最も現実的だと考えているのは、新築住宅で最初から導入する方法です。
新しい家を見た人が「今はこういう家なんだ」と感じることで、スマートホームが特別な設備ではなく、一般的なものとして自然に広がっていく可能性があります。
住宅設備として当たり前になれば、特別な技術ではなく日常の設備として受け入れられるようになると、澤田氏はいいます。
橋渡し役の存在
澤田氏は、機器と住宅をつなぐ「橋渡し役」が重要だといいます。
現在は、Amazonなどで機器を購入し、自分で接続して使う人も多いものの、それをサポートできる専門家はほとんどいません。
家電量販店でも詳しい人は少なく、困ったときに相談できる場所が限られています。
スマートホームを住宅設備として広げていくには、こうしたサポート体制も必要だといいます。
おすすめの防犯は物理対策とスマート機器の組み合わせ

スマートホームは、見守りや自動化だけではなく、防犯対策にも活用できます。防犯カメラやスマートロックなどの機器は、防犯面でも重要な役割を果たします。
例えば、防犯フィルムによって窓ガラスを割れにくくしたり、防犯網戸によって破られにくくすることも可能です。
防犯網戸は、ステンレスメッシュを使った強い網戸で、簡単には破れない構造になっています。価格は1枚で12〜13万円ほどですが、防犯意識の高い家庭で導入されることは珍しくないそうです。
有限会社サワダでは、ステンレス製の網を使用した強靭な網戸を設置できます。その強靭さは、窓を開け網戸の状態のままお出かけしても安心できるほどです。
特別な防犯網戸の詳細はコチラからご覧ください。
>>網戸で防犯!新たな選択肢!
このように、スマート機器と物理的な防犯を組み合わせることで、より安心な住環境は作れると、澤田氏はいいます。
スマートホームで家族を守る
日本ではスマートホームはまだ一般的とは言えません。その大きな理由は、住宅業界での理解が十分ではないこと、サポートできる人が少ないことです。
しかし、本来のスマートホームの価値は「便利なガジェット」ではなく、家族の安心や見守りを支える仕組みにあります。
スマートホームは介護や防犯など、生活のさまざまな場面で役立つ可能性がある技術です。
澤田氏は、将来の姿をこう語ります。
> 「スマートホームも、鍵のように当たり前の存在になるといいと思っています」
かつて鍵が特別な設備ではなくなったように、スマートホームも自然に家に備わるものになる。そんな未来が、少しずつ近づいているのかもしれません。
「有限会社サワダ/スマートホームサワダ」では、スマートホームの導入方法や機器の選び方、設置とその後のサポートまで行っています。Home Assistant(スマートホーム機器をまとめて管理できるソフトウェア)の開発にも携わる澤田氏が、住宅設備とITの両面から、スマートホームの導入を提案しています。
スマートホーム機器の種類や使用方法、基本知識から最新デバイスレビューなどの情報については「みらいの暮らし」公式サイトでご覧いただけます。導入方法や使い方についての相談も受け付けています。