スマートホームは自動化によって実に多彩な用途へ利用されますが、そのせいでドア鍵が勝手に開いてしまう、というような心配はないのでしょうか?

結論から言えば、その心配は全くありません。スマートホームではいくつかの機能に制限が設けられており、これによって安全性を担保しています。とはいえ、初めてこの機能制限を知った方からすれば、「これって何でできないの?」と思うことでしょう。筆者もそうでした。

今回は CANDY HOUSEの SESAME5を例として、安全性のために制限されている機能について紹介します。

安全性 > 利便性

筆者が初めて導入した自動化は、照明の点灯に関するものでした。ドアの開閉センサーや玄関の人感センサーで人の動きを検知した際、玄関照明が点灯する、という設定です。この設定をすれば、夜間の外出の際に暗闇の中でスイッチを探す必要がないですし、手がふさがっているときにも点灯できます。

これと同じように、「玄関の人感センサーで人を検知したらドア鍵を開ける」という設定はできないものかと考えました。こうすれば、外出するときにドアノブ以外を触る必要がなくなります。

しかし、よくよく考えてみるとこの設定は大変危険です。

なぜなら、意図せず玄関前を通り過ぎたときに玄関鍵が開いてしまい、泥棒が入れるようになってしまうためです。この設定を行った本人ならば鍵が開いてしまったことにすぐ気づけるかもしれませんが、もし外出中に屋内のお子さんやペットがセンサーに反応してしまった場合には気付けません。

実は、心配せずとも最初からそのような設定はできないようになっています。以下で個別具体的な事例について紹介していきます。

SESAME5を Goggle Home appの自動化で使う場合

SESAME5を Hub3経由で Google Nestに接続し、Google Home appから自動化の設定をしてみます。下に示すのがその設定画面です。

図 Google Home app上での自動化設定画面

画像から分かる通り、SESAME5の自動化には「開錠」の項目がありません。ロック(施錠)だけです。つまり、自動で施錠を行うことはできても、開錠を行うことはできないのです。よって、Hub3を経由する自動化によって SESAME5が開錠されることはありません。

SESAME5を Google Home appで開錠する場合

自動化を使わず、Google Home appのスマホ操作で SESAME5を動作させる場合はどうでしょうか。

スマホ操作で施錠は問題なくできます。一方、開錠をしようとすると次のようなポップアップが表示されます。Google Home appで開錠するためには、Googleに登録している PINが必要なのです。

図 PIN入力画面

ただ、何度か PINの入力をしていると、次回以降は PIN入力せずとも開けられるように設定を変更できます。

Google Nestの音声認証で開錠する場合も同様です。

「OK, Google. SESAME5を閉めて」と呼びかけると、そのまま施錠をしてくれますが、「OK, Google. SESAME5を開けて」と呼びかけると、「PINを教えてください」と返答されます。そこで PINを答えられなければ開錠はできません。

セサミアプリを使った SESAME5の開錠

Hub3を経由する(Bluetooth範囲外からインターネット経由で通信する)場合、セサミアプリを使っても開錠はできません。ただし、セサミアプリの場合、Bluetoothの範囲内でスマホを使えば、施錠も開錠も自由に使えます。

このように、特に意識をせずとも家庭のセキュリティを危険に晒す使い方はできないということです。

以上まとめますと、SESAME5は安全で便利なので読者の皆様にも強くオススメできます。また、開錠が制限されるのは上記のような理由であることをご納得頂ければ幸いです。

[このコラムで紹介したスマートホーム製品] 
SESAMEネットワークハブ、Matter対応 (品番: Hub3)
スマートロック 標準グレード (品番: SESAME5)