スマートホーム最大の魅力と言えば、「自動化(Automation)」。スイッチを押さずとも照明や空調を動かせることが理想です。
ただし、現状では多くの落とし穴があり、Matterを使った自動化を難しくしています。色々迷った挙句、「もういいや」となってしまわないよう、Google Home appの自動化で最低限知っておきたいことをまとめました。
Matterにはハブが必要
まずは、スマートホームの基本と、Matterを使った自動化をするために用意すべきものについてです。
スマートホーム機器メーカーは各社それぞれに自社製品を運用できるアプリを提供しています。ただ、特定メーカーのアプリで動かせるのは、そのメーカーの製品だけ。他社間でスマートホーム機器を連携させることは基本的にはできません。
これを打ち破るのが Matterという共通規格です。Matter対応製品であれば、Google Nestなどのコントローラーと Google Home appなどのスマホアプリを使い、複数メーカーの製品間での連携を設定できるようになります。
ここで知っておいて欲しいことは、多くの場合に「ハブ」が無ければ Matterは機能しないということです。ハブは特定メーカーの製品をまとめてコントローラ側に認識させる役割を担います。
末端のスマートホーム機器と Alexaなどのコントローラーの中継をするのがハブ、というわけです。
ルーティンの種類は「家のメンバー」で
コントローラーもハブも手に入れたならば、後は自動化あるのみです。Google Home appで自動化をやってみましょう。ただし、ここにも落とし穴が。
筆者が初めて Google Home appの自動化に挑戦したときには、センサーの状態を自動化の開始条件とする選択肢が見つけられませんでした。

図 Google Home appにおける自動化設定画面
画面上に表示されるのは「Googleアシスタントに話しかけたとき」、「特定の時刻」、「日の出または日の入りの時刻」、「アラームの解除時」の 4つのみ。やりたかったことは、「ドアの開閉をセンサで感知して自動で鍵を施錠する」のような自動化です。
IKEAや CANDY HOUSEなど、スマートホーム用の製品を販売しているメーカーのアプリには、上記のような自動化に関する項目が必ずあります。しかし、Google Homeアプリにはそれが見当たりません。正直困惑しました。
問題だったのは、この前の画面の「ルーティンの種類の選択」において、「個人用」を選んでいたことです。

図 Google Home appの自動化設定におけるルーティンの種類の選択
ここで「家のメンバー」を選択すれば、自動化の開始条件として「デバイスでなんらかの操作が行われたとき」という選択肢が現れます。家庭の共有リソースであるスマートホーム機器は、家族誰でも動かせるように設定しなければならない、というわけです。一人暮らしの時間が長すぎて、家族という概念を失念しておりました。

図 Google Home appの自動化設定において「家族のメンバー」を選んだ場合の画面
Google Homeによる自動化に関して、より詳しく知りたい場合は、Google Nestヘルプのページをご参照ください。
Matter対応製品とそうでない製品がある
気を取り直し、まずは Matterの実験としまして、「SESAME Touchの指紋認証システムを使って、玄関にある IKEAの照明を点灯させよう」と考えました。
しかし、結論から言えばこれは不可能です。なぜなら、SESAME Touchは Matterに対応していないからです。CANDY HOUSEさんの製品は全て Matter対応だと勝手に思っていたので驚きました。
Google Home app上にも SESAME Touchは表示されません。また、SESAME Touchの商品ページを見ても Matter対応との記述はありませんでしたので、完全に筆者の勘違いです。
皆様におかれましても、Matterを使った連携を考えている場合は、本当に Matter対応なのかを事前に調べて頂けますよう。Matter対応の製品を販売しているメーカーさんだとしても、全ての製品が Matter対応とは限りませんので。

図 SESAME Touch. 指紋認証によって同社のドアロックを開錠できる
開始条件とアクションに選べる製品には決まりがある
上述の通り、SESAME Touch(指紋認証システム)は Matter非対応ですが、SESAME5(自動ドア鍵)の方は間違いなく Matter対応です。商品ページにもその点が強調されています。
そこで、「SESAME Touchで SESAME5(自動ドア鍵)を開錠させ、SESAME5の開錠を開始条件として、玄関の照明を点灯させればよいのでは?」と考えました。
しかし、実際にはこちらもできません。なぜなら、SESAME5の開錠や施錠は開始条件として選択できないためです。SESAME5は他のセンサーから情報を受信し、開錠・施錠をする、という用途でのみ利用できます。
このように、開始条件として選べる製品と、アクションとして選べる製品が決まっています。
基本的に、ドアセンサーや指紋認証センサーなど、各種センサー類は「開始条件としてのみ」設定でき、オートロックや空調用リモコンなどは「アクションとしてのみ」設定できます。ただし、IKEAのスマート照明など一部の製品は「開始条件としてもアクションとしても」設定できるようです。
「このあたりのことを購入前に調べる方法はないのか?」と、当サイト運営者であるところのスマートホームのプロに聞いてみたのですが、現状は製品サイトの情報を見るか、実際に使ってみるかしかないようです。製品ページやレビューをよく見ましょう。
まとめ
今回言いたかったことをまとめます。
Google Home appで Matter経由の自動化をする際の注意点は以下の 4点。
・ハブが必要
・ルーティンの種類では「家族のメンバー」を選択
・Matter対応かを事前に調べておくべき
・ルーティンの開始条件やアクションに設定できる製品には決まりがある
現状、買って使ってみるまで本当に機能するか分からないというドキドキ感があります。これがあまり健康的なドキドキ感ではないので、今後の改善に期待したいところです。
さしあたっては、そうした不安を解消するためにも、当サイトを通じて実際に製品を使ってみた感想をシェアしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。