Apple Home Keyは、スマホに登録しておけばスマホをかざすだけでスマートロックを開錠できる機能です。同じようなことは交通系ICカードでもできますが、両者の違いはどこにあるのでしょうか?

本記事執筆時点(2026年6月)で Apple Home Keyを使っている、という方は日本にはほとんどいらっしゃらないはずですが、海外では少しずつ利用が広がっている様子。iPhoneユーザーにとっては、みらいのスタンダードになるかもしれません。

Apple Home Keyとは?

Apple Home Keyは iPhoneの「ウォレット」アプリ内に保存される仮想的な鍵です。スマートロック用の鍵として利用でき、Apple Home Keyを登録しておけば、iPhoneをかざすだけで対応するスマートロックを開錠できるようになります。

ウォレットのアイコン

Apple Home Key作成のために追加費用などは不要で、作成方法も大変簡単。

iPhoneにはデフォルトで「ホーム」というスマートホーム用のアプリが入っています。Apple Home Keyに対応したスマートロック(例えば、Aqara J200など)をこの「ホーム」アプリに追加すると、勝手に Apple Home Keyが「ウォレット」アプリ内に作成されます。

ホームのアイコン

後はスマホをかざすだけでスマートロックの開錠が可能になる、というわけです。

Apple Home Keyと交通系ICカード

ここまでの話に関しまして、スマートロックに詳しい方であれば、「交通系ICで十分では?」と感じるはず。確かに、現状のスマートロックの多くは交通系ICカードに対応しており、それはスマホ内の仮想的な ICカードでも同じことです。

ちなみに私自身は以前関西圏に住んでいたため JR西日本が発行する ICOCAの物理カードを持っていました。2023年からスマホに移行できるようになっていたらしいのですが、ズボラな性格のために長年そのまま使ってきて、最近やっとスマホに移行した次第です。

話は戻りますが、ICOCAのような交通系ICカードがスマホの中に入っていれば、スマホがロック状態でもスマートロックを開けられます。電車の改札やバスの乗降口と同じようにピッとするだけで開錠です。技術的には NFC(近距離無線通信)が使われているのですが、物理レベルでは交通系ICも Apple Home Keyもやっていることは変わりません。

では改めまして、その違いはどこにあるのでしょうか?

電源オフ時も利用可

まず、ユーザーにとって嬉しい機能が、スマホの電源がオフでもスマートロックを開錠できる、ということです。電源が切れてしまった後のスマホの予備電力を使ってスマートロックを開錠できます。

交通系ICであれば、スマホの電源が入っていなければ利用できません。

Apple Home Keyはスマートロックが現在よりも普及した将来を見据えて作られた、スマートロックのための技術です。スマホの電源が切れたために家に入れない、という事態が起きないよう設計されているため、より安心してスマートロックを利用できます。

交通系ICと競合することもありませんので、交通機関は交通系IC、スマートロックは Apple Home Keyで使い分けしよう、という考えのようです。

簡単に共有できる

Apple Home Keyは他のユーザーと共有したり、共有した権限を解除したり、という操作が簡単にできます。家族、友人、ホームヘルパーの方、などなど、自宅を出入りする人へスムーズに鍵の受け渡しができ、複雑な操作が必要ありません。

ここで交通系ICであれば、自分以外を入場させたい場合、その人が持つ交通系ICをスマートロックに登録する必要があります。登録のためには家の主人に帯同し、その場にいなければなりません。

一方の Apple Home Keyであれば、データとして鍵を転送するだけで済みます。鍵をもらった人は家主がいなくても家に入ることが可能です。

この鍵の共有は Airbnbなどのデジタル民泊事業にも影響を及ぼすかもしれません。Apple Home Keyがあればより自由、かつ簡易な鍵の受け渡しが可能となり、事業者の負担が軽減されます。

将来的には UWBにも対応

将来を見据えるならば、Apple Home Keyはもっと便利になっていくでしょう。

Apple Home Keyは、現在標準化が進められているスマートロックの共通規格「Aliro」にも対応していますし、その Aliroは UWB(Ultra Wide Band : 超広帯域無線通信)を採用しています。

UWBは iPhone11以降の iPhoneのほとんどに搭載されている無線通信技術で、10m程の範囲内における高精度な位置測定ができます。これまでも「紛失モード」などで見失った iPhoneを探すために役立っていました。

これをスマートロックで使えば、家主がドアに近づいているのか、遠ざかっているのか、ドアまでどのくらいの距離があるかが正確に分かり、ハンズフリーで開錠、施錠ができるようになります。

UWBと従来の狭帯域信号(NICT Newsより)

技術とセキュリティ

Apple Home Keyには Apple Payと同じセキュリティシステムが利用されており、関連するデータは指紋や顔認証データと一緒に、secure enclave と呼ばれる独立したプロセッサー内に保存されます。

私自身はセキュリティシステムなどにあまり詳しくないのでよく分かりませんが、こうした内容にお詳しい方の中で、「本当に大丈夫?」と思われる方は Appleサポートの記事もご参照頂ければよいかと。

Googleはどうか?

Google や Samsungなど主要なスマホメーカーについても Apple Home Keyと同様の機能を持つデジタルキー導入が進められているようです。

Google や Samsungのデジタルキーに対応したスマートロックはまだほぼありませんが、これから出て来るよう。Android や Galaxyユーザーの皆様におかれましてはもう少しお待ちいただくことになるかもしれません。