防犯カメラは年々使い勝手が向上し、手に取りやすいものになっています。空き巣対策として個人でも導入しやすいものになってきました。国も防犯カメラを普及させていく方針のようで、防犯カメラ設置に関する補助金・助成金が拠出されています。

本稿では、防犯カメラ設置に関する補助金・助成金について、地方自治体ごとの違いや、自身の居住地における制度の調べ方、申請の手順などを紹介します。

防犯カメラの進化

防犯カメラといえば、ひと昔前は行政が街頭に設置したり、お金持ちが戸建ての家に設置したりするものというイメージでしたが、最近の防犯カメラは一人暮らしでも導入できる程度にリーズナブルで使いやすいものになっています。

例えば、Aqaraからこのほど発売される Aqara g100は、お値段なんと ¥5480 (税込)。こちらは Aqaraが過去にリリースした防犯カメラ Aqara g5 proの廉価版です。これまでに送り出してきたカメラシリーズの中でも安さが群を抜いていますが、広い視野や高い解像度など防犯カメラとして必要な機能をしっかりカバーしています。

加えて便利なのが Appleの「HomeKit Secure Video」との連携機能。防犯カメラの種類によってはデータ保存のために有料サブスクが必要なタイプがありますが、g100は iCloudと連携して自動でデータを保存してくれます。iCloudの有料プランに登録する必要はありますが、こちらのストレージは他の用途にも使えますし、現在すでに iCloudの有料プランを使っているという方にとっては実質的に月々の料金は発生しません。

防犯カメラの効果

犯罪の抑止について、防犯カメラが一定の効果を持つことは様々なデータが証明しています。

防犯カメラの効果を示す代表的な例としては愛知県刈谷市の取り組みが挙げられます。同市では防犯カメラを900台以上設置することで 2012年から2017年までの間に犯罪件数を半減させることに成功しました。

2018年2月18日、日本経済新聞の記事(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27492010Y8A220C1000000/)から抜粋

空き巣の手口は年々巧妙化し、事前に下調べをして犯行に及ぶことが知られています。下調べの際に空き巣犯の顔を映す可能性が高まる防犯カメラは、空き巣を抑制する効果が高いようです。

これを受け、政府としても防犯カメラの増設を働きかけていく方針を示しました。これまでは地方自治体レベルで進められていた防犯カメラの設置についても、今後は全国的に広がっていくことが予想されます。

防犯カメラ設置に関する補助金・助成金

国や地方自治体は金銭面でカメラの設置を支援すべく、補助金や助成金を拠出しています。

補助金と助成金という 2つの用語についてですが、基本的には管轄省庁の違いによるものです。経済産業省が「補助金」、厚生労働省が「助成金」という用語を使うだけであって、元々の意味に大きな違いはありません。以下では補助金という用語で統一させていただきます。

防犯カメラ設置に関する補助金ですが、補助金の多寡や、補助金が支援する範囲(LED照明やダミーカメラ、カメラ機能付きドアベルなども含むか否か)、対象とする受給者(個人 or 事業者 or 町内会など)は地域によって異なります。

また、防犯カメラの設置に補助金を拠出していない地域も当然ながら存在します。犯罪を抑制するという観点から、人口の多い都市部の自治体で防犯カメラ設置に補助金を拠出しているケースが多くなるようです。

最終的にはお住まいの地域について、ご自身でお調べいただく形になることをご了承ください。

補助金が支援する範囲と条件

防犯カメラの設置を請け負う日本防犯カメラセンター(株式会社トリニティー)のサイトを参考にすると、個人向けに補助金制度を設けている場合、補助率は「物品購入代金の1/2まで」、限度額は「1万円まで」となっていることが多いようです。

また、多くの補助金が、「当該地域に居住」しており、「住民税の滞納がないこと」を条件に設定しています。

動体センサーなどを備えた LED照明、ダミーカメラなどにも補助金が出る場合が僅かにありますが、ほとんどの場合に補助対象となるのは防犯カメラのみです。

居住地における補助金を調べる

以下では、居住地における補助金の有無を調べる方法について紹介します。

基本的には、検索ワードとして「<自身の居住地>_防犯カメラ_補助金」とし、お好きな検索エンジンで検索をすればよろしいかと。市町村が運営しているホームページであれば確度の高い情報が記載されています。検索結果の上位10件ほどにそれらしいものが見当たらなければ、当該地域で防犯カメラに補助金は出ていないと考えてよいでしょう。

一例として、「大分 中津市 防犯カメラ 補助金」で Google検索した結果、それらしい内容のサイトは見当たりませんでした。中津市は防犯カメラの設置に補助金は出していないようです。また、大分県全体としては防犯カメラの設置についての補助金を出しているようですが、個人向けではなく、組合や団体向けでした。こちらは子どもを見守るための PTAなどを想定しているようです。

「大阪 堺市 防犯カメラ 補助金」で Google検索した結果ですが、大阪府堺市は事業者向けのみ補助金を出しています。個人が申請できるものはないようです。

「埼玉 蕨市 防犯カメラ 補助金」で Google検索した結果、埼玉県蕨市は個人向けに申請できる補助金制度があるようです。個人利用の場合の補助率は購入費・設置工事費・設置表示費の1/2までで、上限額は 2万円となっておりますが、共同住宅の場合の上限は 1万円です。

サイトを見てみると、申請に関する注意事項や申請方法についての詳細を知ることができます。

申請方法

では蕨市の防犯カメラ設置補助金に関するチラシを元に、実際の申請手順を見ていきましょう。

大まかな手順としては以下の通りです。

  1. (申請者)書類を提出
  2. (市)書類を精査し、交付決定通知を送付
  3. (申請者)防犯カメラの購入と設置、報告書の送付
  4. (市)補助金確定通知を送付
  5. (申請者)請求書の送付
  6. (市)補助金の支払い

申請者側は 3回に分けて必要な書類を送る都合上、補助金を受け取るまでにはそれなりの時間が掛かることを事前に覚悟しておくべきでしょう。

補助金申請は出すだけならばタダですが、それが受理されなければ申請書の作成などに掛かった時間と労力が無駄になってしまいます。書類を読む担当部署の方が読みやすい、フォーマットに則った書類の作成を心がけましょう。

また、この他にも蕨市の補助金の場合は注意すべき点として以下が挙げられます。

・補助金はこれから購入しようとする防犯カメラに交付される。購入は交付決定通知が送付されてから
・夜間撮影機能を有するものであること
・撮影した映像を常時保存する機能を有するものであること

再三のことにはなりますが、補助金交付の条件は各自治体で異なりますので、要綱をしっかりと読むことを心がけましょう。